バッド・ジーニアス

・「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」2017/タイ/ ナタウット・プーンピリヤ

晩ご飯前にちょっとだけ、と思って見はじめたら止められずにそのまま見切ってしまった。タイの映画って初めて見た。おもしろい!

リン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)とバンク(チャーノン・サンティナトーンクン)の関係の変化が見事。
不正賄賂の横行するエリート私立(だよね?)高校の中で、奨学金をもらう特待生として入学した苦学生の二人。はじめは良きライバルとして。次は犯人と通告者として。そして最高の頭脳持ったバディとしてのミッションを経て、最後には互いを刺し殺す凶器になる。
カンニング」という犯罪を通して、鏡合わせだった二人の立ち位置がすっかり入れ替わってしまうラストが好きだ。バンクとリンはどちらも片親という似たような境遇で生まれ育ち、努力を怠らず能力を磨いてきた。バンクはリンになりえたかもしれないし、もちろんその逆も然りである。作中徹底的に不幸であり続ける惨めで生真面目で優秀で愚かなバンクに、パラレルワールドで幸があることを願う。