モーニング娘。'16・春ツアーへ

行きました。

モーニング娘。’16 『EMOTION IN MOTION』

推し不在のコンサートは散漫とした気持ちのまま迎えた。もちろん楽しみだった。当然かわいかった。けれどもサイリウムの色も定まらず、構えた双眼鏡では漫然とセンターを覗いていました。

そんな中、一曲目にかかったイントロはまさかのOne・Two・Three。鞘師ロスのおたく、既に死にそう。やめてくれよ~こんなの絶対ぜったい辛いじゃん…という思いは見事小田ちゃんのフェイクパートで覆されてしまう。小田ちゃんの勇ましい声はどことなく悲痛さがあって、否応なく来る次世代の始まりを叫んでいるように感じた。「鞘師さんは死んだ、もういない!だけど私の背中に、この胸に一つになって生き続ける!私を誰だと思っている!私はさくらだ、りほじゃない、私は私だ!’16の小田さくらだ!」

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も~小田ちゃんなんて呼べない。小田様。神様仏様小田様。なんて堂々としているんだろう。かっこよすぎる。

私の個人的な感覚になってしまうのだけれど、石田あゆみんが真ん中で1人で踊っていると、どうしてもいないもう一人のことを思い出してしまって辛かった。しかしこの小田ちゃんをセンターに据えた時のしっくり感ときたら何だ?あるべきところにあるべきものが収まった感じ。びっくりしすぎてしばらく考えていたのだけれど、その一つに「歌唱力でセンターに選ばれた」というのが誰が見ても明らか、というのがあるんじゃないだろうか。歌の抜きん出て上手い小田ちゃんがセンターにいることで、実力主義モーニング娘。’16というグループの文脈がスッと見えるように感じる。そういう背景?の上でこそ、キャラクターの濃い各メンバーがいろんな個性を出していっても、グループがまとまって見えるというか。どんなにとっちらかったパスを出しても、そこにに返ればリセットできるすごいセッター、しかもスパイクも打てる。小田ちゃんの手のひらから繰り出される七色魔球たち。肥沃な大地であり孤高の戦士である小田ちゃんの力にまざまざと魅入ってしまったのが、春ツアーの印象でした。

以下ハイライト。

一番良かったのは「踊れ!モーニングカレー」!まーちゃんのけしからん衣装ことスリットズボンが優勝です。スケルトン素材のアラビアンパンツ(?)の太ももの真ん中のところがざっくりと割れていて、踊る度に素肌がチラリズムして釘付けでした。正直この曲、脚を眺めていた記憶しかありません。One and onlyもそうだったことを思い出しました。まーちゃん、実はセクシー担当なのでしょうか。最高です。

ミスムンは言わずもがな、王子様衣装大っ好き。ハロステ映像を見て、まりあ王子のウィンクを浴びに行くぞ!と思っていたのに、いざ行ったら一番見てしまったのはえりぽん王子でした。その前の曲辺りで、生田がサラサラの髪を振り払いながらクールな無表情で踊っているのに気付いてしまって目が離せなくなってしまったのだ。ステージで客席に興味が無さそうだったり果ては嫌悪感すら見えるな表情を覗かせてしまう人めっちゃめちゃ好き。性癖です。

それと別の曲(何か忘れた…)のどぅー。脚を開き腰を落とフリに入るのを待ち構える横顔が、狩りをする前の獣のようでハッとするほど光って見えた。狼少女の役を工藤遥ちゃんにやってほしい。

あと印象に残ったことだと、メドレーの途中にあった手袋の甲についたミラーにピンスポットを反射させてレーザーのように飛ばす演出。実は去年V6の20thアニバコンで似たことをやっていた(光線をメンバーの指先からアリーナの反対側まで飛ばす)ので、アンジュルムコンサートにいった後ということも相俟って、ハロプロのジャニーズ化が著しい…!!!!と思いました。

 

アンジュルム 九位一体@名古屋

アンジュルムのホールコンサートに行ってきました!

右前にいたお姉さんが、ロングのワンピースをひらひらさせて振りコピをしているのが本当に楽しそうでうらやましかったので、次行くときは絶対覚えていこうと思った。早速机の前で新・日本のすすめの振り付けを真似ました。応援団のようなフリがかわいい&かっこいい!と(お姉さんの後ろ姿を見て)絶対覚えたいと印象に残っていたこの曲。これまで曲だけ聞いていた時はもったいぶったような感じがあんまり好きではなかったのに…


スマイレージ「新・日本のすすめ!」

むろたんに双眼鏡ロックオン決めていて自分でもびっくりした。むろたんの今の髪型で激しく身体を動かして汗で張り付く横髪を振り払う姿たまらないの極み。床に這う七転び八起きのパフォーマンスなんて、とんでもなくて、見てはいけないものを見てしまっているような気持ちになった。手垢でべたべたに汚したい欲情に誘う室田瑞希という生き物。ああ…。日替わり買ったよむろたん。

アンジュルムのツアーはどうだった?と聞かれれば、「むちゃくちゃかっこいい」の一言に尽きる。女子アイドルのライブに行ってきたんだー!という文字列とおよそ結びつかない量の「かっこいい」という気持ちで胸に充満した終演後の感情は何とも不思議であった。ビリビリと音を纏って走る稲妻は夜空を切り裂き地面に噛みつき素早く鋭く美しくてかっこいい。アンジュルムのツアーは天候で言うなら雷だ。

ごちゃごちゃとあーだこーだ考える暇は二時間の中に一切なく、怒涛のようにただ楽しい。終わった後もスカッと爽やかに、もう一度行きたい!と思った。

終演後は本屋へ行って、ピザを食べて、また本屋へ行って、やっっと巡り会えた『春の呪い』を購入。素晴らしい。最高。

春の呪い 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

春の呪い 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

 

 ミスリードの嵐、ギミックのオンパレード。何も知らずに読む一度目より、意味を知ってから読む二度目でますます面白みが増す作りになっていて、その罠はタイトルから張り巡らされているという隙の無さ。次巻が待ち遠しい。そして次作が待ち遠しい。

最近見た映画『ジュラシック・ワールド』の公式サイトがすごい

『ジュラシック・ワールド』コリン・トレヴォロウ*1/2015/米

最近見た映画、というタイトルで文を書こうと思って、さて情報を調べるために公式サイトを開いたらそれどころではなくなってしまいました。

これがまず「映画」ジュラシック・ワールドの公式サイト。

ジュラシック・ワールド

そしてこれが物語の舞台となる「テーマパーク」ジュラシック・ワールドの公式サイト!(プレビューが出ない!)

パーク内マップはもちろん、恐竜図鑑、宿の案内まで!

知らずに見せられたら実在するパークだと絶対思ってしまう。なんてワクワクするサイトの作り!映画を観た人はニヤッとできちゃう小ネタも盛りだくさん。すごいな~愛だなあ。

このサイトを見てワクワク出来た人は、映画館に観に行くと2時間ずっとそれを上回るザ・夏のエンターテイメント!を全身で体感できるから行った方がいいです。

 

昔観たジュラシックパークって、もっとサスペンスホラーめいたグロテスクな印象だった。自分が幼かったからということもあると思うけれども、それを差し引いても今回の映画は全く怖くない。ショッキングなシーンは皆無だし、死んでいく人間には相応の理由がしっかり説明されているので、むしろ殺戮シーンが爽快に感じる。ではどこで泣くのかというと、恐竜が死ぬシーン。全部泣ける。意味もなく殺される草食恐竜、死闘の果て死んでいく仲間のラプトル、生まれた理由も分からないまま死んでいく人口恐竜インドミナス・レックス。恐竜サイコー!Tレックス様サイコー!

クライマックスの戦闘とか、笑えるほど大味な展開でおいおいそんなのありかよと半分動揺しつつ、観ている最中は感情が完全に恐竜に乗っているものだからまんまと泣けてしまうのだ。さながら大怪獣映画というか、いや夏のポケモン映画というか。そうだよインドミナス・レックスは紛うことなきミュウツーでした。もう分かるでしょうそういうことだよ。

 

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出てくる人間が全員愚か(オーウェン除く)という点では今年公開された「トゥモロー・ランド」も同じだったけど、あの時感じた苛立ちが今回は全くなかったのはとても良かった。やり手の女経営者クレア、後半にはしっかり頼もしくなっていてカッコ良かった。ピンヒールで森を駆けまわるだなんて、よくある足手まといヒロインになっちゃいがちなキャラなのに、しっかりチャーミングですごいなあと思った。クレアとオーウェンが二人ともしっかり主人公だったから、最後のキスシーンも自然で、納得して受け入れられた。

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兄弟のキャストもいい。っていうか、個人的に兄のザック役のニック・ロビンソン君が好みの顔で、しかも女好きのヘタレだなんて美味しい役なものだからこれだけで観に来た価値あった…と上映30分くらい考えていました。*2

4DXで観たのも相まって、本当に「ジュラシックワールド」のアトラクションに乗っている感じがして楽しかったです。と、振り返ると良い感想しか出て来ない、隅々までホスピタリティに溢れた映画でした。なんか、正しくもてなされたな~!という気持ちになれる。ただ如何せんもっとこう、さあ怖がりに行くぞ!というテンションで向かってしまった為、アレッ?こういう話だっけ?という気持ちになってしまったことも確かだった。ので、そういうのを期待して行くのは良くないと思う。ラプトルちゃん萌え映画です。私はデスクにラプトルちゃんのミニ模型を置きたい。

*1:SWEP9監督

*2:意外となかなか恐竜暴れ出さないんだよね、この映画

100万人の為に歌われたラブソングなんかに思いを重ねたかった

flumpoolについて、考え続けていて、たったの1時間にも満たないアクトで頭がいっぱいでもうこれは恋ではないか?とも思うけれど、これが恋だとしたらあまりにも歪みすぎていてこんな筈ではなかったよね?という話が以下3000文字です。そして答えは出ない。

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ジャニーズ好きな曲調編

好きなアイドルにはやはり歌が上手くあってほしい。いや上手くなくても良い、素敵な歌を備えていてほしい。ビジュアルも勿論大事だけど、触れる時間が一番長い音源が好きだということが自分にとってそのグループを好きになれるかどうかにおいて重要だ。

というわけで最近聞いてて好きだなと思う曲を並べてみた。

・Summer day/20th century  (V6『君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか』収録)

・レディ・スパイシー/Sexy Zone (Sexy Zone君にHITOMEBORE (通常盤)(CD Only)』収録)

・渚のお姉サマー/NEWS (NEWS『「NEWS」(通常盤)』収録)

・ESCORT/加藤シゲアキ (NEWS『White 【通常盤】』収録)

・Starlight kiss/嵐 (嵐『LOVE(通常盤)』収録)

・Dive into the future/嵐 (嵐『Dream a Live』収録)

・Misty/KinKi Kids (KinKi Kids39』収録)

・・・・・

・・・・自分で言うのも何だけど、めっちゃくちゃ分かりやすい偏り方をしていることが分かった。どうやら特に「好き系統」と改めて考えてゆくと、爽やかでスカした(?)曲が好きみたいだ。夏の曲多いな。

上記の中でも特にレディスパイシーとSummerdayはこれーっ!ありがとうございますー!と一発で顔がにやけてしまうくらい好みど真ん中の曲。蒸留した上澄みだけを掬ったキラメキの蒸留水…。良い意味で軽くてスカスカというか、優等生ですという顔をしている感じの曲調が落ち着いて聞いていられてとても良い。カップリングにサラッと堂島孝平さんの曲が入っているなんて!?

あと、加藤シゲアキさんのソロ曲ESCORT、意識せず全曲シャッフルで回ってきて何だこのプールサイドで聞きたいようなオシャレ爽やかな曲は…と思ったら当該曲(しかも自身で作詞作曲!)で大層びっくりしたので忘れられない。全く同じ思いをしたのが二宮和也さんのgimmic gameで、何となく曲の感じも似てるかも?

選には入れてないけど、ブラスサウンドが大好きなのでswing!/V6 や、シャレオツ/SMAP、LOVE PARADE/嵐のような雰囲気の曲は問答無用で好きだ。少し前はオモイダマ/関ジャニ∞のエモさに突然ドはまりして車で涙が止まらなくなった。最後の溜めからのダメ押し感はずるいよね。

KAGUYA、ぶつかっちゃうよ、バリバリBUDDY、ウィークエンダーなどのハイカロリー飛び道具ソングだって大好きだが、丁寧に何度も聞きたいというよりは、元気がある時にしか聞けない…という側面もあるからかもしれない。そう考えるとアルバム曲よりカップリングに好みが多そうなわけで未開の地がまだまだまだあって、この世はでっかい宝島~~!好きな曲並べるだけで分かること多くて楽しい。おすすめ。

 

今さら見たピカ☆☆ンチが満点アイドル映画だった

 V6のツアーが発表された日の夜、私はレンタルショップGEOにいた。メールによる報せに仰天、心は浮足立ち普段は手に取らないような陽気なコメディを借りた。もっともっとハッピーになりたくて、更にアイドル映画も借りようと滅多に足を踏み入れない邦画コーナーへと向かい『ピカ☆☆ンチ』を借りたのである。本作はV6の井ノ原快彦さんことイノッチが原案をしているということで1だけは観ていて、そのB級っぷりになかなか次のタイミングを逃していたのだが、メール事務局からのお知らせの力はDVD一本を持った妙齢の女がレジへと進む背中の後追しをするに有り余った。

V6さん20周年ツアー開催決定おめでとうございますありがとうございます!!

 ところで嵐主演の映画の話しますね。

ピカ☆☆ンチ LIFE IS HARD だから HAPPY [Blu-ray]

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結論から言うとエンドロールが神。 

物語は前作より3年後。彼らの住む八塩団地を八塩ヒルズとして再開発する建設事業を発端に勃発した、推進派と反対派の抗争に巻き込まれていく5人は…!?

という大筋はこんな感じ。ですが筋書きはマジで超×2B級なのであんまり結構かなりまあどうでもいいです。エンドロールが神。エンドロールが神なことにより転じて本編の再解釈をせざるを得ない。ズルい。それくらい素晴らしすぎるエンドロール映像だったのだ。

日常をやりこなすことに明け暮れ、若さという輝きが剥がれ落ちていって、いつもちょっぴりくたびれている「大人」、それがこの青春映画ピカ★★ンチの主人公だ。映画公開時2004年は、まだ嵐は今ほど揺るぎない地位を確立していなかったと思う。そんな中観る、アイドルではない彼らの姿。本編の中では、かつて「あんな大人にだけはならないでいような」と誓った彼らが、どうしようもなく「普通の大人」になってしまう抗えなさを描いている。5人の役どころは以下の通り。

二宮(=タクマ)…カリフォルニアでミュージシャン

大野(=ハル) …不倫関係だった人妻と半同棲

櫻井(=チュウ)…暴走族だったが結婚し一児の父。今は家電量販店の販売営業に就く。

相葉(=シュン)…大学受験に失敗し、編み物の達人に

松本(=ボン) …割烹料理店で見習修行中

…なんか並べてみると全然普通感がないな。けど、今やニュースキャスターをこなす櫻井くんが1番全うにサラリーマンしてるのはなかなか示唆的で面白い。木更津キャッツアイのバンビといい、学歴やキャラ作りをさておいても、そういう役を当てたくなる真面目な人柄が滲み出ているのかなあとも思ったり。などと勝手なメタ視点で観るのが楽しいです。

とことんカッコ良くなく、現実にたたき落とされた、まるで友人の気恥ずかしい所を見てしまったような気まずさと、それが故の親近感をたっぷり共有してしまえば、好感度が上がらないわけがない。ああ、こんな普通の男の子なんだ、この子たち私がいて支えてあげなくちゃだめなのかも、なんてちょっぴり手が届きそうな所に一旦対象を下げておいてから、の、はい。問題のエンドロールです。

刮目せよこれがスーパーアイドル嵐様だ。夢破れた映画の中の彼らが突然、あらゆる人が瞬きの瞬間にだけ掴む輝きをギュッと形に凝縮したような、輝きと自信に満ち溢れたオーラを放ち、これぞジャニーズ!というパフォーマンスを見せる。タクマが二宮なのか、二宮がタクマなのか、そんなことは分かりきっているのに、数秒前とのギャップの大きさにとても胸がバクバクしてしまう。この頃はみんな若さ故にビジュアルにちょっとトンガリがあり、反面それが危うさにも見える儚さを兼ね備えていて…つまりめっちゃかっこいいのだ。(2004年のコンサートDVD「いざッ、Now」をamazonのカゴに入れながら)

Summer Concert 2004 「いざッ、Now」 [DVD]

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 過去挿話の吹き出し演出がアホそうすぎて(しかもこれが何回も出てくるのだからたまらない)これ私が嵐ファンだとしても劇場に観に行ったら苦笑いしかできない…と当時のファンの心情になっては複雑な気持ちになっていたりした、けど、最後の最後「嵐」の5人が屋上のビルで歌い踊る姿で全部払拭されてしまった。青空の下、まだ大人でもないでももう子供じゃないそんな彼らが踊る踊る。

それだけでも十分素晴らしいのに、このエンドロールにはさらにもう一つの仕掛けがある。嵐のPVに挟まれる形で、実際のロケ地である八潮に住む人達が映すされていく中、現地の男の子たち5人組が明らかに嵐の5人組を意識した形で写されるのだ。それも何度も。もう私はここでとっても泣けてしまった。同じように生きていて、同じような背格好で、同じような世代で、でも他方は圧倒的に普通で、他方は圧倒的に特別である。何が違ったんだろう。どちらが良くてどちらが悪いというわけではない。でももしかして、たった一つの選択肢を違えれば「嵐」の5人がこんな風に全力で踊り狂う姿はなく、それぞれがバラバラに、エンドロールの中のこの少年たちのように、恥ずかしげな笑みを浮かべる、少しばかりかっこいい男の子たち、だったのかも。それって、それって今真剣な眼差しで画面に現れ続けてくれる彼らってものすごく尊いんじゃない…?なんて感傷に浸っているとまたバリバリアイドルPVの姿に画面が切り替わってもうどうしようもなくエモーショナルでセンチメンタルでつまりただのファンである。この気持ちにさせたらアイドル映画としては花丸120点でしょう。ありがとうございました。エンディングの晴れやかな青空のように、すっかり爽やかな視聴感を得て、つらい…と思っていた中だるみも忘れて、もう一度見たいとすら思ってしまった。銀幕でこのエンドロールに胸を撃ち抜かれたかったなあ。

そうだ、エンドロールの中で「あなたにとってピカ★ンチとは?」という質問に嵐のメンバーがそれぞれ答えるメッセージが流れるのですが、結構みんな良いこと言ってる中、二宮和也さんの「映画」という回答も捻くれすぎてて最高でした。二宮様…

繁忙期にベタ甘ラブストーリーを/最近観た映画雑感

「ユー・ガット・メール」1998/米/ノーラ・エフロン

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昼は町の本屋さん VS 都会の大型書店!夜はメル友!(当人たちは気付いていません!)というベタベタのストーリーが疲れた身体にじんわり染み渡るかわいいラブストーリー。

とにかくキャスリーン(メグ・ライアン)の経営する絵本屋さんがべらぼうにかわいい!メロメロ!住みたい!こんな空間で働きたい!おさるのジョージ、メイシーちゃん、ぞうのババールetc、、好きなものだけを詰め込んだあったかなお店だなあというのが画面越しにもヒシヒシと伝わってきて、こんなお店が自分の町に合ったらついつい色んな本を手に取ってしまいそう。

故にメールの相手がキャスリーンであるということにジョー(トム・ハンクス)が先に気づいた時、現実での距離を縮めるために周到に動いていく所が気持ち悪くて引いてしまった。調子良すぎでは…いや本人たちは幸せそうなので外野は黙っときますが…

こんなにステキな本屋さんを潰されて、でもそれもしょうがないわねって、そんなのいいのー!?

 

・「ワンデイ」2011/英/ロネ・シェルフィグ 

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 ジェーン・スーさんの名著『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』の中で語られている問に、男女間の友情は成立するのか?というものがある。そこでの回答はズバリ、ノーである。なぜなら、もし、「よく気が合い・話していて楽しく・一緒にご飯を食べていて楽しい相手」を「親友」と言うのならば、それは著者にとって理想の恋人像となってしまうからである。

・・・ということをこの映画を観ていて思い出しました。 

親しくなりたい、という感情の延長にステップアップが必要ないのを気楽と取るか絕望と取るかは、結構年齢を重ねるごとに変わってくる気がする。

エマ(アン・ハサウェイ)とデクスター(ジム・スタージェス)が並んだ姿は正に美男美女。誰もがお似合いだと一目で思うような彼らは、しかし大学の卒業式の夜に一つの約束を交わす。僕たちずっと親友でいようね、と。翌年、翌々年、5年、10年、20年…変化する彼らの人生を、約束を交わした7/15だけを切り取って描く物語の構成が見事。

最初の、卒業式後にたむろしてるシーンの感じ、わかるな~って一番印象的で好きだった。と思ったらなななんとロネ・シェルフィグ監督…!『17歳の肖像』!!!!!ギャーめっちゃ好きなやつ!!!!瑞々しくてちょっぴりタバコの匂いがする感じの思春期の女の子の描き方が抜群に好みだ。

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

 

 

 

イルマーレ2006/米/アレハンドロ・アグレスティ

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彼女が手放した家に住んだのは2年前に生きる男だった。

2004年のケイト(サンドラ・ブロック)と2006年のアレックス(キアヌ・リーブス)が、時を超えて手紙を届けるポストを通しての文通で親しくなってゆく話。

この二人を隔てる間が「2年」という所がミソで、絶対会えなくもない、すぐに会えるわけでもない、という絶妙な時間だなあと思った。

後から知ったのですが、どうやら2000年上映された韓国映画のリメイクとのことでした。 

 

「エレファント」2003/米/ガス・ヴァン・サント

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「キスも知らない17歳が銃の撃ち方は知っている」キャッチコピーが最強のやつ

ピアノソナタ14番「月光」、エリーゼのために

が、この映画を観終わった後に聞くともつれるような感情を巻き起こされてものすごくどんよりした気持ちを作る曲となる。

同監督では『永遠の僕たち』だけは鑑賞済で、あー言われてみれば痛々しい美しさの切り取り方が雰囲気一緒かもなあと思った。画面が全部かっこいい、そしてDVDジャケットが全部かっこいいやつだ!特に「パラノイドパーク」は、手に取っては棚に戻しては…をいつもしてるのでかなり見覚えがあるぞ。あのジャケット何度見ても生田斗真さん!?って思っちゃうんだよね。

これも縁だし借りてみようかな…と思うけど、でもどれもこんな調子なのだとしたら、そ、それはちょっと体力ある時にしようかな

「明日死ぬんだ。キスしたこともないのに」「してみる?」 

 

マイ・ブルーベリー・ナイツ2007/香・仏/ウォン・カーウァイ

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エリザベス(ノラ・ジョーンズ)とジェレミー(ジュード・ロウ)のなんてことない恋愛映画…ではない。女賭博師レスリー(ナタリー・ポートマン)が出てきてから、あれ、これ、ジュード・ロウいらないんじゃないの?と思うほど物語の雰囲気が一転してびっくりした。「見ると恋がしたくなる♡」みたいな触れ込みで売るの詐欺だろこれ!!

彼氏に浮気されて捨てられた夜、なんでフラれちゃったのかなあってカウンターで愚図っていると「ごらん、1日の終わりにショーケースに残るブルーベリーケーキを。ショートケーキが売れ残るなんてことはまずないんだ。でも、そんなことはブルーベリーケーキがまずいだなんて理由にはならないよ」って言ってくれるジュードのいるカフェはどこにありますか

 カウンターに持て余すように長い脚を乗せて彼女がやって来る姿を待つ所もとってもかわいい。「今日は遅かったね?」ってフランクを装って話しかけるも「いや別にそういうつもりで来てたわけじゃ…」ってこれまたフランクに距離を置かれちゃうションボリ笑顔もキュンしかない。ただ、そういう映画ではない。そういう映画ではない。(二度言う)

 

ダンサー・イン・ザ・ダーク2000/典/ラース・フォン・トリーア

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セルマ(ビョーク)の空想が鮮やかに世界を彩るほど、灰色がかったリアルな描写が引き立っていた。週末が楽しいほど月曜日が淀んで見える気持ちに例えたい。

もうとにかくド欝!救いなし!と評判をきいていたから覚悟していたものの、辛くなった辺りでミュージカルシーンが挟まれるので、観ている最中は意外とそうでもないかも、という印象だった。けど、鑑賞後にお風呂で目を瞑ったり、ふと部屋に1人になった時などに陰惨な映像が頭をよぎり背後を振り返れなくなることに気づいた。本当の地獄の門は、それと分かるようには開かれていなくて、日常に生活にふとある隙間に滑りこむように足を踏み入れてしまうものなのかもしれない。

 

・「ノッティングヒルの恋人」1999/米/ロジャー・ミッシェル

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な、納得いかね~~~ の連発だった。

「ユーガット~」のオマージュ?リスペクト?男女逆転版。映像の感じは軽やかで素敵だった。しかしアンジェリーナ・ジョリー演じるヒロインのアンの身勝手さに全く共感できず・・・

別にウィリアム・タッカー(ヒュー・グラント)が旅行書で働いてる設定である必要ないのと同じくらい、大スターアンが一般男性ウィリアムをわざわざ選ぶ必然性が見出だせないように感じた。二人の関係ははてな?だったけど、それに合わせて周囲の人間が態度をコロコロ変えるのがおもしろかった。芸能人という色眼鏡で見て、きゃあきゃあ騒いだと思ったら、勝手に期待して調子が悪くなったらすぐ手のひら返しっていうの、わかるなあ、って思っちゃうのが痛い。