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今さら見たピカ☆☆ンチが満点アイドル映画だった

アイドル 映画

 V6のツアーが発表された日の夜、私はレンタルショップGEOにいた。メールによる報せに仰天、心は浮足立ち普段は手に取らないような陽気なコメディを借りた。もっともっとハッピーになりたくて、更にアイドル映画も借りようと滅多に足を踏み入れない邦画コーナーへと向かい『ピカ☆☆ンチ』を借りたのである。本作はV6の井ノ原快彦さんことイノッチが原案をしているということで1だけは観ていて、そのB級っぷりになかなか次のタイミングを逃していたのだが、メール事務局からのお知らせの力はDVD一本を持った妙齢の女がレジへと進む背中の後追しをするに有り余った。

V6さん20周年ツアー開催決定おめでとうございますありがとうございます!!

 ところで嵐主演の映画の話しますね。

ピカ☆☆ンチ LIFE IS HARD だから HAPPY [Blu-ray]

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結論から言うとエンドロールが神。 

物語は前作より3年後。彼らの住む八塩団地を八塩ヒルズとして再開発する建設事業を発端に勃発した、推進派と反対派の抗争に巻き込まれていく5人は…!?

という大筋はこんな感じ。ですが筋書きはマジで超×2B級なのであんまり結構かなりまあどうでもいいです。エンドロールが神。エンドロールが神なことにより転じて本編の再解釈をせざるを得ない。ズルい。それくらい素晴らしすぎるエンドロール映像だったのだ。

日常をやりこなすことに明け暮れ、若さという輝きが剥がれ落ちていって、いつもちょっぴりくたびれている「大人」、それがこの青春映画ピカ★★ンチの主人公だ。映画公開時2004年は、まだ嵐は今ほど揺るぎない地位を確立していなかったと思う。そんな中観る、アイドルではない彼らの姿。本編の中では、かつて「あんな大人にだけはならないでいような」と誓った彼らが、どうしようもなく「普通の大人」になってしまう抗えなさを描いている。5人の役どころは以下の通り。

二宮(=タクマ)…カリフォルニアでミュージシャン

大野(=ハル) …不倫関係だった人妻と半同棲

櫻井(=チュウ)…暴走族だったが結婚し一児の父。今は家電量販店の販売営業に就く。

相葉(=シュン)…大学受験に失敗し、編み物の達人に

松本(=ボン) …割烹料理店で見習修行中

…なんか並べてみると全然普通感がないな。けど、今やニュースキャスターをこなす櫻井くんが1番全うにサラリーマンしてるのはなかなか示唆的で面白い。木更津キャッツアイのバンビといい、学歴やキャラ作りをさておいても、そういう役を当てたくなる真面目な人柄が滲み出ているのかなあとも思ったり。などと勝手なメタ視点で観るのが楽しいです。

とことんカッコ良くなく、現実にたたき落とされた、まるで友人の気恥ずかしい所を見てしまったような気まずさと、それが故の親近感をたっぷり共有してしまえば、好感度が上がらないわけがない。ああ、こんな普通の男の子なんだ、この子たち私がいて支えてあげなくちゃだめなのかも、なんてちょっぴり手が届きそうな所に一旦対象を下げておいてから、の、はい。問題のエンドロールです。

刮目せよこれがスーパーアイドル嵐様だ。夢破れた映画の中の彼らが突然、あらゆる人が瞬きの瞬間にだけ掴む輝きをギュッと形に凝縮したような、輝きと自信に満ち溢れたオーラを放ち、これぞジャニーズ!というパフォーマンスを見せる。タクマが二宮なのか、二宮がタクマなのか、そんなことは分かりきっているのに、数秒前とのギャップの大きさにとても胸がバクバクしてしまう。この頃はみんな若さ故にビジュアルにちょっとトンガリがあり、反面それが危うさにも見える儚さを兼ね備えていて…つまりめっちゃかっこいいのだ。(2004年のコンサートDVD「いざッ、Now」をamazonのカゴに入れながら)

Summer Concert 2004 「いざッ、Now」 [DVD]

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 過去挿話の吹き出し演出がアホそうすぎて(しかもこれが何回も出てくるのだからたまらない)これ私が嵐ファンだとしても劇場に観に行ったら苦笑いしかできない…と当時のファンの心情になっては複雑な気持ちになっていたりした、けど、最後の最後「嵐」の5人が屋上のビルで歌い踊る姿で全部払拭されてしまった。青空の下、まだ大人でもないでももう子供じゃないそんな彼らが踊る踊る。

それだけでも十分素晴らしいのに、このエンドロールにはさらにもう一つの仕掛けがある。嵐のPVに挟まれる形で、実際のロケ地である八潮に住む人達が映すされていく中、現地の男の子たち5人組が明らかに嵐の5人組を意識した形で写されるのだ。それも何度も。もう私はここでとっても泣けてしまった。同じように生きていて、同じような背格好で、同じような世代で、でも他方は圧倒的に普通で、他方は圧倒的に特別である。何が違ったんだろう。どちらが良くてどちらが悪いというわけではない。でももしかして、たった一つの選択肢を違えれば「嵐」の5人がこんな風に全力で踊り狂う姿はなく、それぞれがバラバラに、エンドロールの中のこの少年たちのように、恥ずかしげな笑みを浮かべる、少しばかりかっこいい男の子たち、だったのかも。それって、それって今真剣な眼差しで画面に現れ続けてくれる彼らってものすごく尊いんじゃない…?なんて感傷に浸っているとまたバリバリアイドルPVの姿に画面が切り替わってもうどうしようもなくエモーショナルでセンチメンタルでつまりただのファンである。この気持ちにさせたらアイドル映画としては花丸120点でしょう。ありがとうございました。エンディングの晴れやかな青空のように、すっかり爽やかな視聴感を得て、つらい…と思っていた中だるみも忘れて、もう一度見たいとすら思ってしまった。銀幕でこのエンドロールに胸を撃ち抜かれたかったなあ。

そうだ、エンドロールの中で「あなたにとってピカ★ンチとは?」という質問に嵐のメンバーがそれぞれ答えるメッセージが流れるのですが、結構みんな良いこと言ってる中、二宮和也さんの「映画」という回答も捻くれすぎてて最高でした。二宮様…